2012-05-05
KAMA BAY AMP 2000 は、D級デジタルアンプ(YAMAHA YDA138)を搭載しています。D級アンプは、出力段でスイッチング出力のオンデューティを制御することによってアナログ信号を増幅しているので、電源電圧が変動するとゲインが変動して忠実な増幅ができなくなり、ひずみが悪化する。特に D級アンプで、電源は非常に重要な要素となるのだ。
KAMA BAY AMP には、12V2A のスイッチング電源が付属していたが、これまではPCのATX電源から12Vを供給していた(関連記事 KAMA BAY AMP 2000 ノイズフィルタ追加)。
これを電源トランスを使ったドロッパ型電源に変更すると音質が改善されるらしい。そこで、できるだけ廃材を利用して電源を自作する事にした。
これが、別のアンプに変更したほど、音質が劇的に変わりましたよ・・・
これが20年以上前に自作した鉛バッテリ用の充電器。昔流行った喫茶店のテーブルゲーム機の廃材から取り出したトランスを使用しています。AC100V を 14.6V(2.7A) に変換して全波整流しただけですが AC 105V入力で 16V 5A 以上の実力があるスグレモノだ。
ところが去年、スイッチング電源を使った定電流充電器を自作したので、もうこれは使わなくなってしまった(過去記事 バッテリ充電器の自作 (1)~(5))。
これに秋月電子通商のLM338T を使った大容量出力可変安定化電源キット(\600)を組み合わせると、簡単に12V5Aの安定化電源ができるはずだ(ここから PDF制作マニュアル をダウンロードできる)。LM338T は、LM317 の改良版で、リップル除去性能が75dBと優れているという。
このキットは簡単で便利だが、コンデンサは大型なモノに変更したいし、回路も簡単なので PDFで回路を確認しながら LM338T(\200) と抵抗、コンデンサ等を集めて自作しました。
整流用ダイオードにショットキダイオード D15XBS6(\200) を使うと順方向の抵抗が低くなるので、オーディオ機器では効果があるとか。
整流した後に平滑コンデンサ 50V4700uF(\100) x2 を入れました。LM338Tのキットには、35V 3300uF のコンデンサを使っていましたが、コンデンサを増やせば内部インピーダンスを下げる事ができる。また、同じ容量でも耐圧が高いほど電気特性が良いらしい。
しかし、10000uF を超えると突入電流(ラッシュカレント)の対策が必要になるという。対策するとすれば、電源ON時には数Ωの抵抗でコンデンサをゆっくり充電して、数秒後にリレーで抵抗をショートするのだそうだ。詳しくは、お気軽オーディオキット資料館 の ラッシュカレントはどのくらいになるのか? が参考になると思います。
9400uF(4700uFx2) なら突入電流を考慮しないで、なんとか大丈夫だ。電解コンデンサは、ブランド志向で日本ケミコン製の一般用を使いましたが、若松通商では各種オーディオ用の電解コンデンサも購入できるようです。ここは価格がちょっと高いけど、気分的に高級感を出せる。
問題は、この大型トランスを入れるケースの調達です。電源トランス 110Wx100Hx90D が入るケースは安価なものが無く、ギリギリ入る TAKACHI MB-22(W120xH100xD160) \1,000 を購入しました。
これだけだと、安っぽく見えるので、デジットで 2mm のアルミ板(\285)を購入して、パネル面を仕上げる事にしました。
充電器で使っていた 電流計(5A)+電圧計(15V) をパネルに付けるとオーディオ機器らしく見えないので、以前秋月電子で購入したあった LCDパネルメータ PM-128(\700) を取り付ける事にしました。
パネルは安価なのですが、このパネルを駆動する電源として DC7~11V が別に必要となるので、これ用に別電源を組む必要がある(これが面倒なので今まで使わなかった)。
LCDパネルは、199.9mV で 0~1999 まで表示可能ですので、これを電流計として 5A を表示するにはmax 20A表示となります。オームの法則(R=E/I) で 0.2V/20A=0.01Ω となる。つまり、0.01Ωに20A流すと抵抗の両端に 200mV 発生する計算です。
手持ちで 0.1Ωの金皮抵抗 があったので、これで仮組みしました。この結果 2A で 199.9mV(=1.999表示) となるのですが、実際に動作させると KAMA BAY AMPは 1A も流れないので、max 2A でも問題なさそうです。
さらに、電流計と電圧計を切り替えできるようにスイッチを追加すれば面白いかも知れません。
部品が揃ったので、ケースの加工から始めます。
2mm のアルミ板は、Pカッターで両面に溝を切って少しずつ何度も曲げて折ると綺麗に切れます。
ケースよりも左右に5mmほど大きくしました。高さ方向が 100mm なのでぴったりなのですが、上に1mmほど出したかったので、下が1mm足りない(真正面から見ると判るが)。
アルミ板には加工時の傷防止に白いビニルシートが貼ってあり、これは最後に剥がします。パネルの四隅を黒の4φ六角ネジで固定しました。
LCD と 電源SWの配置を決めてマーキングした後、ドリルで穴を開けニッパで穴をつなげて、おおまかに穴を切り取ります。後は、ヤスリで根気よく仕上げるのみ。
良い感じに仕上がりました。
ケース側のパネルはバカ穴にしました。ケースは1mm厚なので、ハンドニブラで切り取る事ができます。
電源トランス、放熱板等の配置を決めます。なんとか入りそうです。
LM338T の放熱板は、パソコンショップからタダでいただいた Pentium4 の放熱板を流用しました(充電器を自作した時と同じ)。
LM338T にリードをハンダ付けして放熱板にネジで固定します。放熱板と LM338T はシリコンシートで絶縁し、ネジは絶縁樹脂を間に入れてあります。右上に見えるのは、ショットキダイオードのブリッジです。ACインレットはノイズフィルタ付きにしました(ノイズフィルタは気休め程度で期待していませんが)。
ケースの加工が完了すれば、80%できたようなモンです。
LCDパネルメータに 006P(9V)を接続して動作を確認しました。小数点の位置は、基板裏のパターンをショートします。
続き デジタル(D級)アンプの電源を自作する(2) を読む>>
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